イーマックス(e.max)は、白い詰め物・被せ物を歯型を取ることなく治療できる、最先端の審美歯科治療です。セレックと同様に被せる治療は1日で終了しますが、違いは素材にあります。二珪酸リチウムを用いることで高い強度と美しさを両立し、マイクロスコープによる精密な形成と組み合わせることで、自然で長持ちする仕上がりを目指します。
イーマックス(e.max)って何?
イーマックスは、白い詰め物・被せ物が歯型を取ることなく治療を行うことができる、最先端の審美歯科治療です。セレック同様に1日で被せる治療は終了します。違いは素材にあります。セレックは長石系のセラミックですが、イーマックスは二珪酸リチウムです。長石系のセラミックは接着性はとても良いのですが、やや審美性に劣るのと、歯と同等程度の硬さなので、噛む力が強い人の場合は欠けてしまうこともあり得ます。イーマックスは強度はセレックの3倍程度。そして何といっても審美性がとても良いのが特徴です。
イーマックスはセラミックスを削り出しますので、被せ物の厚みの確保が大事になります。そこで必要なのが、マイクロスコープを使った精密な歯の形成(削ること)です。当院では、14台のユニット全てにマイクロスコープが設置されていますので、当然ながら歯を削る行為は全てマイクロスコープで拡大して行っています。ここが大きな違いです。
イーマックスブロックの特徴は紫色をしていることです。このブロックをミリングマシンで削り、電気炉で焼成しますと、天然の歯のような色になります。
前歯1本のみの治療で色調にこだわる場合
前歯で1本程度の治療の場合、イーマックスのみでは色調の再現性が劣る場合があります。特に、神経を取ってある歯で金属の土台が入っており、その土台を外さないほうが良い場合には、金属色がほんの少し透過しただけでも色調的に違和感が生じてしまいます。そんな場合には、ジルコニアとセラミックを焼き付けるジルコニアセラミック冠のほうが適する場合があります。ただし、ジルコニアはイーマックスよりも接着材がくっつきにくい性質があり、外れやすいという短所があります。なお、ジルコニアの場合はワンデー(1日完結)ではお受けできませんのでご承知おきください。
イーマックス 5つの治療ステップをご紹介します
1日でセラミック治療が完了(合計2時間半程度)するイーマックスによる治療は、具体的にどのようにして行われるのか。その5つのステップを具体的にご紹介します。
step0 マイクロスコープによる精密な歯の形成
当院では、マイクロスコープ(ドイツ・カールツァイス社)を使用して治療を行っています。虫歯などの部分を削る治療にも、マイクロスコープにより8倍程度に拡大して行います。肉眼で歯を削るよりも大幅に精密で高精度です。セラミックによる治療は、被せる冠の厚みを均等にする必要があります。これはマイクロスコープを使わなければ達成できません。
step1 歯を削った後、3Dカメラで口腔内を撮影します
治療する患歯を削った後、従来の型取りをする際の不快感を味わうことなく、青色LED 3D光学カメラを使用して患歯を撮影(スキャン)するだけ。わずか数秒、これだけの作業で患部の歯列が目の前のモニター上に再現されます。おまけに、従来の型を採って石膏で模型を作る方法よりも正確です。
step2 コンピューターの3D画像上で修復物を設計します
モニター上であらゆる角度から、咬み合う部分や形を微調整し、理想的な形にしていきます。なお、このシステムはパソコンのソフトウェアによりますが、当院は毎回、有償のバージョンアップを続けています。このバージョンアップにより毎年、格段の進歩を遂げています。同じシステムを使っていても、最新のソフトウェアで動いているかどうかで出来上がるものが変わります。
step3 ミリングマシンが設計データをもとに加工します
ミリングマシンと呼ばれる機械が、コンピューターで設計されたデータをもとにセラミックブロックを削り出し、チェアサイドで、みるみるうちに精度の優れた修復物を加工・作製していきます。奥歯のような大きな歯でも10分程度で削り出しは終了します。削っている間は、そばでご覧いただけます。
step4 専用の電気炉で焼成します
削り出したものを電気炉で870度、25分間焼成します。これで紫色のブロックは歯と同じ色に変化します。また、焼き上がり後にも色を付けて色調を変化させることが院内で可能です。これらは院内の歯科技工部の歯科技工士が行います。
この間の1時間は外出可能ですが、待合室でお待ちいただいてもOKです。午前と午後に分けて、一旦帰宅していただいてもOKです。
step5 口腔内へセットして治療完了です
お口の中に装着して、チェックをします。合計2時間半程度かかりますが、間の60分程度は待合室でお待ちいただくか、天気の良い日は小机界隈をお散歩でもしてください。
実際の症例をご覧ください《所要時間3時間30分》
土台を作ります《所要時間20分》
この方は、左上の前歯が折れてしまって来院されました。幸い歯の根が折れていませんでしたので、グラスファイバーの土台を立てました。
イーマックスブロックの削り出し《所要時間20分(設計を含めて)》
イーマックスブロックを削ります。右のダイヤモンドバーが冠の外側を、左側のバーが冠の内側を削っていきます。なんでこれで正確な冠ができるのか、正直不思議です。
形を合わせます《所要時間10分》
削り上がったブロックを患者さんの歯に仮に装着して形を見ます。ここはやはりデジタルではなく、歯科医師のセンスが要求されます。なお、イーマックスは焼く前は紫色です。
艶出しをします《所要時間3分》
艶出しの処理をします。これは後でもできますが、最初からやっておくと色合わせに便利です。
焼成をします《所要時間30分》
専用の電気炉で870度程度にて焼きます。今回は、イーマックスで作るインプラントの上部構造もお供で焼きました。
再度の色つけ《所要時間20分》
焼き上がったイーマックス冠をお口の中に装着。そして色を見て、多少白っぽかったので、もう少しお化粧をして電気炉へ。この工程は不要な場合もあります。
完成
焼き上がったイーマックス冠を歯に装着して終了です。これだけのことが1日で終了します。技工所に出して技工士さんに作ってもらった場合、最低でも1週間。しかし、技工所から納品されたイーマックスを装着してみると、だいたい色が合いません。それもそうですね。色は技工士さんにデジタルを使っても伝えられない部分が多すぎるのです。よって、色の変更をお願いするとさらに1週間かかります。その間は、変な色の仮歯で我慢しなければなりません。それが……おおよそ3時間程度で終了です。もの凄い時短だと思いませんか。ただし、このワンデーイーマックス前歯治療ができるのは、設備と歯科技工士が勤務している診療所でないと無理だと思います。
また、色に関してもっと審美性を求める場合は、ワンデーではできませんが、イーマックスに替わりジルコニアを土台に使うジルコニアセラミック冠のほうが適します。
所要時間・治療費用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所要時間 | 3時間30分(その間の1時間はご帰宅が可能です) |
| 治療費用(前歯) | 120,000円(税込) |
| 治療費用(奥歯) | 110,000円(税込) |
白い詰め物・被せ物をお考えの方へ
イーマックス(e.max)は、型取り不要で1日完結、強度と審美性を兼ね備えたセラミック治療です。前歯1本の繊細な色調や、より高い審美性をご希望の場合はジルコニアセラミック冠もご案内できます。お口の状態に応じて最適な方法をご提案しますので、お気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
久保倉 弘孝(歯科医師・医療法人社団 敬友会 理事長)
1986年に小机歯科医院を開設。K.SRCT(久保倉式スーパー根管治療)考案者。ICOI国際インプラント学会指導医(Diplomate)、歯科医師臨床研修 指導歯科医。
※当ページの情報は一般的な歯科知識の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。お口の気になる症状はかかりつけ歯科医にご相談ください。