4.28~5.4 2013
米国の大学での研修も7校目を迎えました。ニューヨーク大学はニューヨーク・マンハッタン島にあります。昨年、一昨年に行ったコロンビア大学もマンハッタン島にありますが、少々離れたところにあります。どちらかと言うと、ニューヨーク大学の場所の方が治安がよさそうな所にあります。
今回は、いつものデルタ航空の座席が取れなかった為に、日本航空で一路ニューヨークへ。
4.28~5.4 2013
米国の大学での研修も7校目を迎えました。ニューヨーク大学はニューヨーク・マンハッタン島にあります。昨年、一昨年に行ったコロンビア大学もマンハッタン島にありますが、少々離れたところにあります。どちらかと言うと、ニューヨーク大学の場所の方が治安がよさそうな所にあります。
今回は、いつものデルタ航空の座席が取れなかった為に、日本航空で一路ニューヨークへ。
今回のコースも、コロンビア大学と同様に最新のインプラントについて学ぶものでした。
講習はみっちり5日間。毎日、朝の8時にはニューヨーク大学歯学部に集合。しかし、ニューヨーク大学歯学部は中心地マンハッタンに有り、泊まっているホテルからはそれほど離れていないものの、朝のニューヨークはかなり交通渋滞。しかも日本のタクシードライバーの様に建物を言えば連れて行ってくれる事は殆どなし。ニューヨークの道は碁盤目の様になっているので、その座標を言わないとダメ。最初のうちは、ニューヨーク大学歯学部のその座標にあたるストリート名を記憶していなかったので、タクシーに乗ってからスマホで調べたりしていて結構困りました。 ちなみにニューヨーク、マンハッタンにはイエローキャブと言うタクシーがもの凄く沢山走っていますが、運転は荒く、日本のタクシードライバーの様な親切心はあまりません。そして、困るのは、夕方にタクシードライバーの運転者交代が有るらしく、一度会社に帰るそうなので、その時間帯には沢山のタクシーが走っていながら、止ってくれるタクシーは殆どなし。たまに止ってくれても窓から顔出して「どこ行く?」と聞いて、自分が帰る方向じゃないと、さっと走り去るのが当たり前でした。
講習は、日本人グループが30人程度、そしてスペイン人グループが20人程度の混合での受講で、ベネズエラや、メキシコの参加者も混ざっていました。日本人の構成は30歳前か40歳超えで中間の30代が抜けている構成でしたが、スペイン人は殆ど30台の歯科医が多く、イケメン?揃いでした。そして日本人、スペイン人には同時通訳者が入っていました。しかし、日本の同時通訳者は歯科業界では有名な柴田さん一人で、本当に大変だろうと思いました。それでも、非常に的確な通訳を時差にも関わらずして頂けました。
講義の内容は、エジプトのアレクサンドリアで開業しているエジプト人歯科医師のアスカリー先生がトップバッター。米国やヨーロッパの先生のインプラント臨床は沢山見てきましたが、中東世界の先生は始めて。イスラム世界なので何となく自嘲気味なのかと勝手に想像していましたが、逆に、非常にアグレッシブなインプラント臨床を見せて頂きました。その中でとても勉強になった事は、やはりインプラントにおいては、どうしても骨の量ばかりを見てしまいがちですが、骨を覆っている歯肉の厚さも非常に大事だと言う事を再認識させられました。
骨が有れば、インプラントは確かに埋められます。しかしその周囲の骨は生きていますので、血液の供給が必要なのです。自分の歯の場合は、歯肉の他に、歯の周囲の歯根膜と言う部分からも血液の供給を受けられます。
ところが、通常の歯と違ってインプラント周囲の骨は歯肉以外からは血液供給、つまり栄養を得られないのです。そこで大事になってくるのは、歯肉の厚さなのです。歯肉の厚さなどと言うと、一般の方はそんな事は考えた事は無いと思いますが、歯肉の厚さには個人差が非常に有るのです。歯肉が厚い人は、3ミリ~4ミリ有りますが、薄い人は1ミリ以下の人が居ます。これが、前歯の部分の場合、薄い人の方が骨に対しての血液を供給するパイプラインが細いのです。こうした場合、骨はどうなるかと言うと長い間の事を考えるといつの間にか吸収をしてしまうのです。腕や足の骨の場合は、1、2ミリ程度、細くなっても全く問題が無いだろでしょうし、気がつく事も無いと思います。しかし、前歯の骨の場合は、1ミリ減ってしまっても大問題なのです。 なぜならば、前歯の骨が減ってしまうと、埋めたインプラントの銀色の軸が露出してくるのです。そうなると笑った場合、見えてしまうのです。それが顔の真ん中ですから非常に都合が悪いのです。又、これを修正するのは至難の業。よってそうならない為には、インプラントを埋める前に、薄い歯肉の人は歯肉を厚くしておく必要が有るのです。それを可能にするのが歯肉の移植なのです。
そんな事はどうして行うか?それは上顎の内側から少し歯肉を取ってきます。それを前歯の歯肉等に張り合わせるのです。 それでは取ってしまった部分はどうなるかと言うと、ちゃんと再生しますので問題ありません。この移植については、当院でもかなり実施しており成果は確認されております。
ここで話をニューヨーク大学での話に戻しましょう。次の先生はドイツ人の先生。この先生の講義も非常にアグレッシブでした。何と、殆ど全ての歯が残っている歯周病の人の歯を1日で全部抜いてしまって、一挙にインプラントを入れて咬める様にする方法です。12本以上を一度に埋めてしまいますので時間はかかりますし、治療費も相当かかってしまいます。しかし条件さえ整えば出来なくはないとの事でした。
そして、とても良い講義をしたのが、最後に担当したアメリカ人の先生でした。通常はインプラントを行った人の最初の写真と最後の写真くらいしか見せてくれないのですが、この先生は、途中の写真も余す事なく見せて頂けたので、おおいに参考になりました。
ただ、全ての先生の講義が素晴らしいかと言うとそうでも無くて、字ばっかりのスライドを棒読みする様な先生も居たりして、睡魔との戦いとなった事も有りました。
今回とても良かったのは、3回行ったミシガン大学、南カリフォルニア大では撮影禁止でしたが、ニューヨーク大学は最初から全ての写真撮影が認められていました。一昔前でしたら、暗い部屋での写真撮影など出来なかったと思いますが、現代はデジカメで一瞬にして画面を撮影する事ができます。今回は、かなりの枚数の写真撮影をしてそれを持ち帰る事ができました。それをホテルに帰ってから、グーグルドライブと言うネット上でのプレゼンテーションが出来るサイトに登録して日本に居る勤務医や歯科衛生士に見てもらう事ができました。この研修会に参加した院長の私だけが知識の向上が有っても、周囲のスタッフの向上がなければ意味は半減すると思うからです。
このニューヨーク大学の短期留学は、次回は中国の青島医科大学での首周囲の解剖実習が有り、来年には、ルーマニアのブカレストでの患者さんを使っての実習や、もう一度のニューヨークでも研修も有りますので色々と勉強できそうですので、又ご報告したいと思います。
2013/5/8記入