
歯を安定した状態で保つ為には、根っこの先にきっちりガッターバーチャを詰めこむ事です。ところが、歯髄が入っていた空洞の歯髄腔は細かったり蛇行している事が多いです。それをきっちり広げて詰めやすくする事を根管形成と言います。
(左の図は模式図です。実際にはこんなに寸胴にはしません。)
ドリルの様な回転切削器具も用いますが、根の先1/3に関しては回転切削器具は使わないほうが良いです。根の先の孔(根尖孔)を必要以上に広げて、破壊しないためです。
この根管形成は、炎症を起こして壊死に近づいた歯髄組織を取り、出来る限り根管内を無菌状態にする処置です。ただ、実際には無菌状態にする事は出来ませんので、極力綺麗にするという意味です。無菌状態に出来ない代わりに、根の先にピッタリと蓋をする根管充填が非常に重要な意味を持ちます。
そして、この根管形成は根の先の孔(根尖孔)を緊密に充填する為に行います。しかし削りすぎている場合が非常に多いのです。歯の根はもともと根管と言うくらいですから、パイプの様な構造です。その内面をドリルで削っているのです。歯は食事の際には上方から1平方センチメートルに50キロ程度の荷重がかかります。又、寝ているときの歯ぎしりでは、酷い場合は300キロ程度がかかると言われています。よって、内面を削りすぎてしまうと強度が落ちて、歯の根が折れてしまうのです。現在では歯槽膿漏が減った代わりに、この歯根破折が非常に増えています。しっかりと根の先に充填をしようと思えば、ある程度の根管内を削る必要が有ります。その最小限に留める必要があるのです。