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出っ歯をセラミックの被せ物で治してはならない訳

投稿日: 2019年3月23日  | カテゴリ: 院長ブログ

大人の方で出っ歯を気にされている方も多いと思います。昨今では被せ物で短期間に直してしまう治療が美容歯科で行われており、大々的に宣伝もされています。


唯一のメリットは、手っ取り早く治せる点かもしれません。

しかしデメリットの方がが多いので、慎重に治療方法を選択する必要があります。



出っ歯を被せ物で治す場合は、歯の中の神経を取って土台を立てて、出っ歯を修正した被せ物を「無理やり」被せるのです。健康な歯を削るのは、誰でも「問題があるのでは」と考えますが、それ以外にも大きな問題が有ります。

上の図は横からみた、上の前歯と下の前歯の関係です。

一般的に、被せ物で出っ歯を治そうとするとこうするのです。




問題その① 根管治療の上手い下手がでる。


角度を変えるには大きく歯を削る必要がある為に「歯髄」と言う、通称神経を取る必要が出てきます。いわゆる根の治療、根管治療です。上手い治療ならば歯の強度を落とす以外はそれほど問題が起きませんが、下手な治療の場合、将来根の先の骨がごっそり無くなる根尖病変を作ってしまいます。これにより下手をすると抜歯になる可能性が有るのです。



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上記レントゲンで根の先の黒い部分は根尖病変と言われている部分です。歯茎から膿がでてくる場合も多いです。セラミックで角度を変えるような処置をしてしまうと、又それを外して再治療を行う訳にも行かず、根の先を切り取る手術を受ける必要が出てきます。又、酷い場合は抜歯も有り得るのです。


問題その② 前歯の強度を落とす


そもそも、歯の根の中を削って治療をしますので、強度を落とします。虫歯の場合は止む無くこの様な治療をしますが、この様に便宜的に根の治療をして強度を落とすのはどうでしょうか?そして本来は真っすぐな歯を「く」の字型にするのですから根の中にいれた土台に力が集中します。その結果、何年かすると根が折れてしまう場合が有るのです。そうなると抜歯しか有りません。


問題その③ 中途半端な改善


歯が歯肉から生えている部分は変えられません。つまりその位置から無理やり被せ物で角度を変えますので、思ったよりも出っ歯は改善しません。又、咬み合わせが深い場合、上顎の前歯を被せ物で引っ込めた場合、下顎の前歯が見えなくなります。返って上の前歯が強調されてしまいます。


問題その④ 下顎が前方に出しにくくなる。


普通はこんな事は問題になるのかと思うでしょうし、この様な被せ物で前歯の角度を変えてしまう歯科医師は顎運動の理論をご存知ないのです。

下顎が前に出せるという事は実は大事なのです。被せ物で前歯を引っ込めてしまっても下顎を出せる事は出せます。それが行いにくくなるのです。つまり下顎の位置の自由度が被せ物を入れた途端に無くなるのです。多くの場合、この様な出っ歯の方は専門的には2級1類と言う咬合をしています。それは、上顎前歯は出っ歯なのに、下顎が後方に位置をする為に下の前歯が歯茎を咬んでいるような場合が多いのです。つまり咬み合わせが深いのです。咬み合わせが深いと、下顎を前方にもってこようと思うと、角度を変えたしまった被せ物をこすって顎が前方にでる距離が長いのです。




そして、上の図の様に、下顎を前方に移動させようと思うと、すんなりと前には行かず、下顎はやや下方に行くだけになります。こうなると下顎は後方に引っ張られ、耳の前方にある顎関節に力がかかってまいります。こうなると、顎が痛い様な顎関節症になってしまう場合も多いのです。

あと、人間は必ず歯ぎしりをしています。例外はありません。この様な状態で角度を変えると今までの様な下顎を前方に動かすような歯ぎしりが上顎の前歯の制限を受けて行いにくくなります。逆に行おうとすると歯の根に大きな力がかかり歯根が折れてしまう原因になります。それでは急に歯ぎしりが行えなくなるとどうなるのでしょうか? 歯ぎしりは元神川歯科大学歯科矯正学講座教授の佐藤先生によると、ストレスの発散先であると言われています。つまり今まで通りのの歯ぎしりが急に出来なくなると、喰いしばりの動きに変わり顎関節に力が過度に力が加わったり、不定愁訴の引き金になりかねないのです。


それではどうすべきか?

上記の様な2級1類と言う、咬み合わせの深い場合は、矯正治療により咬み合わせを上げる事が重要になってきます。そして上顎の前歯の角度を歯に付けたワイヤーを回転させる力を働かせ、出っ歯を治すのです。この場合、下顎を前方位に移動させるテクニックも必要になってきます。矯正専門の歯科医師でも下顎の前方移動など出来ないと思っている場合が多いですが、ゴムメタルと言うワイヤーを的確に使う事により治す事ができるのです。


上の図はその概念図を書いてあります。咬み合わせを上げるには奥歯のかみ合わせの高さをコントロールすることによりできます。被せ物でそれを行う訳ではありません。


よって、出っ歯の場合に被せ物(セラミック)で歯並びを治そうとする場合は早く治るというメリットもありますが、慎重に考えて下さい。


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