「歯科技工士」と言う仕事
一般的に、歯科技工士さんは虫歯等で歯が欠けてしまった部分に装着するセラミックや金属を作ったり、また、歯が無くなってしまった部分を補う義歯(入れ歯)を作ったりする仕事をする人です。
小机歯科では、2016年の春から院内に歯科技工士さんが常駐しています。
当院の歯科技工士さんは、義歯の修理やミリングマシンと言うコンピュータ制御の機械で削り出したセラミックを研磨・調整したり、同様に削り出したセラミックの一種のジルコニアに陶材を盛り付けてより自然な前歯を作ることを主な仕事としています。
今までは、金属やジルコニアに陶材を盛った様な冠は、歯科技工所に外注しておりました。
しかし前歯の被せ物の様な場合、色や形の調整が非常に難しいのです。
以前は、写真を撮って技工所に送ったりもしていましたが、なかなか色調が合わず何回もやり直した事があります。
しかし、歯科技工士さんが院内に常駐していると、歯の色調なども作製する技工士さん本人が直接見る事ができます。
院内で歯科技工士さんが患者様の実際の歯を見て、更にその人の顔かたちまで見ることができるようになり、それによって微妙な表現までできる様になりました。
これは私の長年の夢で、開業30年でやっと実現する事ができました。
歯科技工士さんの役割も、これからは大きく変わってくると思います。
多くの歯科技工所は、今でも歯科医院から送られてくる石膏の歯型に合わせて、金属を鋳造して歯の詰め物を作っています。
しかし、もうこの方法は時代遅れとなりつつあります。
それは、前述の様に、金属を使わなくてもセレックが代表するような、歯により近いセラミックを機械が数分で削り出してしまう事が出来るようになってきたからです。
つまり、歯科技工士さんが金属に置き換わる原型を模型に蝋で作って、それを固まる砂の中に埋め、その蝋を熱で溶かし、そこに金属を鋳込む。その様な作業が一切不要になったのです。
これをやっていたのが歯科技工士さんですが、この様な分野はこれからは機械に取って代わられると思います。
実際、当院でも歯科技工士さんは金属を鋳造する事などは一切行っておりません。
ただ、歯科技工士さんは不要になるかと言えばそんな事は無いと私は考えます。
これからの歯科技工士さんは、それらの機械を制御したり、出来上がった技工物の研磨や調整が主な仕事になってくるのではないだろうか、と思うからです。
審美的な歯の被せ物等は、最後は人の手でじっくりと仕上げないと良いものができません。
ミリングマシンのような機械の技術革新も目を見張るものがあります。
それに併せて、その周辺の機器も大きく進歩してきました。
ジルコニアの様なセラミックを焼く電気炉の完全なコンピューター化により、職人的な感覚による温度管理も不要となり、しかも院内の限られたスペースで短時間で出来るようになったのです。
これらの事からも、ある程度以上の規模の歯科医院では歯科技工士さんが活躍できる場所がもっと増える事が予想されます。
しかし、歯科技工士さんは年々数が減少している職業です。
それには、歯科の健康保険の診療報酬が諸外国に比べて余りにも低い事も関係しています。
健康保険の技工料と言う名の加工費も、健康保険の診療報酬に連動して安いのです。
その結果、歯科技工所は薄利多売でしか経営ができないと言われています。
民間の歯科技工所は、あまり大きな規模でない場合が多いと言われています。
そのような歯科技工所では、セラミックを削り出すような多大な設備投資が必要な機器を買う事が困難なのです。
それらの理由から、昔ながらの方法で出来る健康保険の歯科技工に依存する傾向があります。
そのため、歯科技工士さん達は連日、夜遅くまで仕事をしなければならなく、職業として敬遠されがちです。
現在、歯科技工と同じような技術を用いる仕事である宝飾業界に転職をされてしまう歯科技工士さんが多いのが実情です。
これからの歯科技工士さんの仕事は、規模の大きな歯科医院や歯科技工所で、主にセラミックやインプラントに関する技工、特に高い芸術性を求められる仕事になるのではないか、と考えております。
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